多様な学びの中で自分の道を見つける — Bruin Spotlight:長倉結子さん

現在、UCLAではどのような人が学んでいるのでしょうか?経済学部2年の長倉結子さんは、大学進学に伴い中学時代を過ごしたカリフォルニアへと戻り、多様な選択肢の中から自分が学びたいことを見つけました。長倉さんに留学までの経緯や、UCLAでの学び、日本同窓会への期待などを語ってもらいました。
自己紹介:
長倉結子です。今、UCLA経済学部の2年生で、専攻は「ビジネスエコノミックス」です。
日本にいたころはスキューバダイビングが好きで、沖縄などで楽しみました。カリフォルニアに来てからは、大学のクラブで茶道を楽しんでいます。茶道に触れられる授業もあるので、それらを通して学びを深めています。
女性やLGBTQの課題にも興味があり、大学グループやDEI(多様性を尊重し、すべての人々を包摂的な環境で受け入れることを目指す考え方)活動に携わっています。
留学の経緯について:
生まれは東京ですが、6歳のときに家族でハワイへ移りました。小学生時代はハワイで過ごし、その後中学生になるときにサンフランシスコへと引っ越しました。
中学3年の途中で一度日本へと帰国したのですが、その後すぐにコロナ禍となりました。そのため高校はオンラインスクールを選択し、イギリスのカリキュラム「A-Levels(Aレベル)」を修了しました。このオンラインスクールでは、イギリスやニュージーランド、オーストラリアなどさまざまな国の方が学んでおり、英語でコミュニケーションを取っていました。
日本に帰国した段階で、「大学はアメリカに行こう」という気持ちを漠然と持ってはいました。さらに私は高校3年生の時点では「絶対にこのキャリアに進みたい」「これを学びたい」という思いが明確ではなかったので、アメリカの大学の教育システムが合っていると思いました。
アメリカでは入学して2年間は幅広い知識を学び、その後に専攻を決めます。ダブルメジャーやマイナー専攻といった選択肢もあります。明確に決まっていないのなら、まずはいろんな知識を得て、その上で自分の興味関心を深めていければいいと思ったのです。
海外大学の中でもUCLAを選んだ理由:
まず中学時代をサンフランシスコで過ごしたので、馴染みのある土地だったというのは大きいです。またUCLAは、特別に理系であったり、特定の学部が強いというわけでなく、どの学問もバランス良く優れているという印象です。
受験時点では学びたいものが決まっていなかったので、将来的にどの専攻、どんなキャリアを選んだとしてもあまり差を感じない大学が良いと考えました。
UCLAの受験、アドバイス:
UCLAは高校の成績、「A-Levels(Aレベル)」で取った成績、さらにエッセーなどを評価します。ほとんどの学生は、UCLAだけでなく複数のUCに出願するでしょう。各校に出すエッセイを書く際、「この学校が求めていることは何か」と考えながら書くのはよくないです。自分の「本当の思い」や「情熱」を正直に書くことの方が重要だと思います。
私が出願したとき、8つのテーマの中から4つを選んでエッセイを書くことを求められました。どのテーマを選ぶかは重要です。私は、個人的および学問的な興味の異なる4つの側面をエッセイを通じて示せるよう、慎重にテーマを選びました。まだ専攻も決まっていなかったため、学業に関することだけでなく、好きな映画の話や日本の学校に通って学んだことなど、少しくだけた内容も取り入れました。
また、エッセイは早めに書き始めるほうがいいでしょう。気付けば、出すべきエッセイのトータル数が50、100となっていることもあります。私自身も苦労したので、早めの行動が肝心です。
取り組んでいる学問について:
私は「ビジネスエコノミックス」を専攻しています。ビジネスエコノミックスという学問は、一般的な経済学に加え、会計学やマネジメント学などビジネスに直結する分野も学びます。最初は経済や統計学、数学のベーシックな知識を学び、そのうちに自分が学びたい知識を選んで履修していきます。
ビジネスエコノミックスを専攻することにしたきっかけは、1年生の2学期に受けた経済の授業が楽しかったからです。得意な数学を生かせ、また社会と密接につながった「経済」に面白さを感じました。さらに会計学にも興味が出てきたので、それらを包括的に学べるビジネスエコノミックスを専攻しました。
ビジネスエコノミックスの知識をどう生かしていくのか:
学習を通じ、ロジカルシンキングや数字を読み解く力はかなり磨かれていると実感しています。現在学ぶ知識をそのまま社会で生かせるかどうかは分からないのですが、ロジカルシンキングなどのスキルは、「仕事上の考え方」や「問題発生時の対処法」としてビジネスの場で活用できる部分があると思います。プログラミングも学ぶので、活かしていきたいですね。
印象的な授業や学習環境について:
特に面白かった授業としては、2024年の春学期に受けたセミナー(Race in the Criminal Justice System)です。このセミナーは学生20人程度の小規模で、「刑事司法における人種格差の原因」をより深く理解するために経済学者によって行われた最近の研究について、リサーチペーパーを読み込んで、調査をするというものでした。同級生や先生と密に関わることができたのが印象的でした。
UCLAは大規模校で、通常の授業は200~300人規模という場合も多いです。しかし小規模なセミナーやオフィスアワーといった先生への質問の機会を十分に設けてくれます。思っていた以上に先生と積極的に関わることができます。
また専攻する分野だけではなく、幅広い知識を学ぶ授業も興味深いです。「フィアラックス」という授業では、茶道や宇宙、人間の優しさなどさまざまなジャンルを取り扱います。この授業も少人数制で、私は気に入って毎学期受けています。
UCLA以外での学びについて:
1年、2年生の夏に、テック系のオフィスでインターンさせていただきました。私が高校生のとき、この会社のプロジェクトのためにインタビューを受けたことがあり、その当時から「いい会社だな」という印象でした。大学1年生のとき、再び連絡を取り、何か(仕事に関われる)機会があるかどうか尋ねました。
すると、夏にインターンシップの募集があることを教えてくれました。通常の応募プロセスを経て、履歴書とカバーレターを提出し、その後3回の面接を受けました。面接では、私の人生についての質問に加え、その仕事で想定される状況にどのように対応するかについても問われました。エンジニア職ではなかったため、技術的な質問はされませんでした!
夏のインターン後もパートタイム(有給インターン)という形で、その会社で働いています。まだ19歳ですが、実際の会社で仕事をさせていただけるというのは、かなり大きな学びとなっています。ブランドチームに所属し、会社のブランディング、AIボットの作成などをさせていただいています。コミュニケーションの取り方、ミーティングでのリードの仕方など基礎的なビジネススキルも身についてきました。また社内にはさまざまな仕事をしている人がいるので、そうした人と話す機会を持てるというのもうれしいことです。
卒業後のキャリアについて:
今の段階で「絶対にやりたい」というものは決まっていないのですが、小学校から高校の頃にプログラミングをしていたので、テクノロジー業界全体に関心を持っています。今はテックのマーケティングやブランディング、そしてビジネス開発といった面により興味を持っています。就職するなら、テック系の会社も視野に入れています。
また法律分野にも興味があり、弁護士という道もあり得ると思っています。日本では法学部を卒業した後、ロースクールへ進む人が一般的でしょう。しかしアメリカでは、多様な学部を卒業した人がロースクールへ集まります。例えば生物学を専攻した後、弁護士になる人もいます。大学で学びたいことを学び、その後ロースクールに行く感じです。理系の知識を有した弁護士でないと対処できない事案もあるので、多様な人材が育つ良い流れだと思います。
UCLAを目指す後輩へのエール:
UCLAにはいろんな人がいます。高校時代から勉強第一で頑張ってきた人、明確にキャリアを描いている人、エンタメ業界での活躍を目指している人…。それぞれが自分の「やりたいこと」を追求しています。
UCLAを目指すのであれば、「UCLAに受かるためにこうする」などということは思わず、「自分がやりたいこと」「自分が目指したいこと」をやり続けてください。受験時のエッセイでも、自分が本当に興味あることを書き、「本当の自分」を見せるのが一番だと思います。
UCLAには何万人もの学生がいるので、自分と同じ分野に興味を持った仲間にも出会えるはずです。